マンションリノベーションの特徴と留意点などについて、広さ(専有面積)ごとにご紹介します。50平米から100平米以上まで、広さ別のリノベーションにかかる費用や構造による制限、間取りを変更するメリットのほか、気をつけるべき点、計画の進め方などについて、ポイントを解説していきます。
広さ(平米・㎡)別マンションリノベーションの特長とポイント
マンションリノベーションの対象となる広さは、50平米から100平米以上までさまざまです。広さ(専有面積)に対して、主に以下の表のような間取りが一般的です。間取りが同じでも、広さ(専有面積)には幅があります。
専有面積(㎡) | リノベーション後の想定間取り |
---|---|
50 | 1LDK~2LDK |
60 | 1LDK~2LDK |
70 | 1LDK~3LDK |
80 | 1LDK~3LDK |
90 | 1LDK~3LDK |
100 | 1LDK~4LDK |
110 | 2LDK~4LDK |
120 | 2LDK~4LDK |
130 | 2LDK~4LDK |
140 | 2LDK~4LDK |
150 | 3LDK~4LDK超 |
マンションの広さ(専有面積)は変えることはできなくても、間取りはリノベーションにより大きく変えることができます。
最適な間取りは、家族構成や重視するポイントによって大きく異なります。そのため、マンションリノベーションを検討する際は、理想のライフスタイルをもとに間取りを考えてみましょう。
以下では、広さ(専有面積)別のマンションリノベーションの事例をご紹介します。各事例には、実際の費用を含む施工データと完成画像も合わせて掲載しています。家族構成やライフスタイルに合わせて、理想のリノベーションの参考にしてみてください。
- 100平米以上のマンション:広さを活かしたリノベーションが特長
- 80平米・90平米のマンション:ファミリー世帯が生活しやすい広さ
- 60平米・70平米のマンション:空間の活用がリノベーションのポイント
- 50平米のマンション:効率的なレイアウトが重要
100平米以上のマンション:広さを活かしたリノベーションが特長
100平米以上のマンションは、4人以上の家族がそれぞれのプライベート空間を持てる広さです。100平米以上の広さのマンションでは、部屋数を減らしてリビングを広くしたり、趣味を楽しむプライベート空間を作ったりといったリノベーションを実現できます。
例えば、子どもが成長して夫婦2人となった場合など、部屋数が余ることがあります。この場合、子ども部屋を書斎や趣味の部屋に変えたり、リビングやダイニングを広くしたりすることで、家族がくつろげる共有スペースを広くすることができます。
また、趣味を充実させるため、音楽やアートを楽しむためのスタジオやギャラリーを作ったり、フィットネスやヨガを行うためのスペースを設けたりすることもできます。
100平米以上のマンションでは、プライベート空間と共有空間のバランスを調整することが重要です。家族構成やライフスタイルの変化に合わせて、柔軟に間取りを変更できるようなリノベーションプランを考えてみましょう。
100平米のマンションリノベーションの費用相場
100平米のマンションリノベーションの費用相場は2500万円~が目安です。費用相場について、さらに詳しくは「 広さ別・マンションリノベーションの費用相場は?」をご覧ください。
100平米以上のマンションリノベーション事例
子どもが独立した後の住まいとして、住み慣れた100平米のタワーマンションをリノベーションした事例です。廊下をなくす、水回りを移動するなどして、広々とした空間を実現しています。
築30年・110平米のマンションをスケルトンリノベーションした事例です。高台の立地を活かしたLDKから広がるパノラマ眺望が特徴です。
既存の間取りを大幅に変更するのであれば、住戸の天井、床、壁や設備機器を全て解体撤去することで、自由自在にお好みに作り変えることが可能なスケルトンリノベーションがおすすめです。
80平米・90平米のマンション:ファミリー世帯が生活しやすい広さ
80平米・90平米前後のマンションは、ファミリー世帯が生活しやすい広さで、リノベーションにより開放感のあるLDKを実現できます。
LDKは家族が集まり、コミュニケーションの中心となる重要なスペースです。リノベーションによって、キッチンとダイニングをオープンに一体化することで、家族のコミュニケーションが深まるでしょう。
また、可動式の間仕切りを利用して、ワーキングスペースや子ども部屋などに変化させることも可能です。
加えて、収納スペースの確保も重要なポイント。スッキリとした空間を作るために、壁面収納や家具の配置に工夫を凝らすこともできます。
80平米~90平米のマンションリノベーションの費用相場
80平米~90平米のマンションリノベーションの費用相場は2000万円~が目安です。費用相場について、さらに詳しくは「広さ別・マンションリノベーションの費用相場は?」をご覧ください。
90平米のマンションリノベーション事例
この90平米のマンションリノベーション事例では、既存の間取りを活かしつつ、水回りを使いやすく変更しました。
トイレと浴室をダウンサイジングして、そのスペースを収納として活用しました。内装は、お手持ち家具に合わせてダークブラウンへ変更し、落ち着いたモダンな雰囲気に統一しました。
80平米のマンションリノベーション事例
80平米のマンションリノベーション事例では、ゲストとくつろぎながらお酒を楽しめる、一流ホテルのバーのようなダイニングを実現しました。資産価値を高める目的も兼ねてリノベーションを活用しています。
60平米・70平米のマンション:空間の活用がリノベーションのポイント
60平米・70平米のマンションは、2LDK~3LDKの間取りが一般的です。60平米・70平米のマンションは、単身からファミリー世帯までが生活しやすい広さであり、家族構成の変化に合わせたリノベーションをしやすいのが特長です。
無駄なスペースを抑え、壁面収納や収納スペースを効率的に配置することで、生活の中で必要な物を整理整頓できます。
また、可動式のパーテーションや引き戸などを活用することで、仕切りを付けたり外したりできます。このような柔軟性のある間取りは、家族構成や生活スタイルの変化に役立ちます。
60平米~70平米のマンションリノベーションの費用相場
60平米~70平米のマンションリノベーションの費用相場は1500万円~が目安です。費用相場について、さらに詳しくは「広さ別・マンションリノベーションの費用相場は?」をご覧ください。
70平米のマンションリノベーション事例
ライフステージの変化を考えた70平米のマンションリノベーション事例です。今は夫婦2人ですが、将来子どもが生まれた時の事を考え、成長に応じて子ども部屋に変えられる工夫が盛り込まれています。
60平米のマンションリノベーション事例
34年前に新築で購入した60平米3LDKのマンション。お子様の独立をきっかけに、ひとり暮らしのための住まいへフルリノベーションした事例です。
50平米のマンション:効率的なレイアウトが重要
50平米のマンションは、一人暮らしやカップル、新婚夫婦に人気の広さです。50平米のマンションでは、限られたスペースを効果的に活用することが重要です。
まず、廊下をなくし、リビングとキッチンを一体化させることで、スペースの有効活用と開放感を両立できます。
また、ウォークインクロゼットや壁面収納を利用すれば、収納スペースを効果的に集約できます。ベッド下や天井近くのスペースを活用した収納や、壁面を有効活用した本棚や棚板の設置などもおすすめです。
コンパクトな家具やマルチに活用できる家具を選び、明るいカラーや鏡を使ったデザインなど、光と視覚効果を利用して、空間を広く見せる工夫も有効です。
50平米のマンションリノベーションの費用相場
50平米のマンションリノベーションの費用相場は1250万円~が目安です。費用相場について、さらに詳しくは「広さ別・マンションリノベーションの費用相場は?」をご覧ください。
50平米のマンションリノベーション事例
将来は、ウォークインクロゼットを子供部屋に転用予定。夫婦と愛猫、未来の生活を見据えた50平米のマンションリノベーション事例です。
マンションの広さと間取り(LDK)ごとの世帯人数目安
以下の表は、マンションの広さ(占有面積)別の世帯人数の目安です。ただし、これらは一般的な目安であり、間取りやレイアウトによって利用可能なスペースが変わってくるほか、家族構成やライフスタイルによっても異なります。
広さ(占有面積) | 世帯人数の目安 | 一般的な間取り | 家族構成 |
---|---|---|---|
20~30㎡ | 1~2人 | 比較的小さなスタジオタイプ | 単身者、カップル |
30~50㎡ | 1~3人 | 1LDKや1K+αのタイプ | 単身者、小規模の家族 |
50~70㎡ | 2~4人 | 2LDKや2DKのタイプ | 小規模の家族、シェアパートナー |
70~90㎡ | 3~5人 | 3LDKや3DKのタイプ | 中規模の家族 |
90㎡以上 | 4人以上 | 4LDK以上の広いタイプ | 大規模の家族、多世代ファミリー |
世帯人数の目安を間取り別に直すと以下のようになります。一般的な目安ですので、参考にしてみてください。
間取り | 世帯人数の目安 | 向いている家族構成 |
---|---|---|
1K | 1~2人 | 単身者やカップル |
1DK | 1~2人 | 単身者やカップル |
1LDK | 1~2人 | 単身者やカップル |
2LDK | 2~4人 | 少規模の家族やシェアパートナー |
3LDK | 4~6人 | 中規模の家族 |
4LDK | 6~8人 | 大規模の家族やシェアパートナー |
広さ別・マンションリノベーションの費用相場は?
ここでは、広さ別にマンションリノベーションの費用相場について解説します。
広さ別・マンションリノベーションの費用相場
4LDKマンションをスケルトンリノベーションした場合の平米(㎡)あたりの費用相場――
- 一般的なマンションの場合:25~30万円程度/平米(㎡)
- ハイグレードマンションの場合:30~35万円程度/平米(㎡)
専有面積(㎡) | リノベーション後の想定間取り | 費用相場 |
---|---|---|
50 | 1LDK~2LDK | 1,250万~1,500万 |
60 | 1LDK~2LDK | 1,500万~1,800万 |
70 | 1LDK~3LDK | 1,750万~2,100万 |
80 | 1LDK~3LDK | 2,000万~2,400万 |
90 | 1LDK~3LDK | 2,250万~2,400万 |
100 | 1LDK~4LDK | 2,500万~3,000万 |
110 | 2LDK~4LDK | 2,750万~3,300万 |
120以上 | 2LDK~4LDK | 3,000万~ |
スケルトンリノベーションの下限費用目安は1㎡あたり約25万円を想定し、上限はグレードの高い設備などを設置する場合を想定し1㎡あたり約30万円としています。
間取りや、利用する素材などにより価格は変わります。
早めに見積りを依頼するのがおすすめ
上記で説明したように、リノベーション費用は間取り変更を伴う場合、工事内容によって大きく変わります。そのため、マンションリノベーションを検討しはじめる段階から見積りを依頼するのがおすすめです。 マンションリノベーション工事費用の見積りを早く入手できると、希望予算でどのようなリノベーションが実現できるのか把握でき、ローンや補助金などの資金計画を立てやすくなります。
マンションリノベーションの注意点
マンションリノベーションでは、希望どおりの間取りに変更できないケースもあります。そこで、マンションリノベーションを本格的に検討する前に、確認しておくべき4つのポイントを説明します。
*1 配管の位置は調査が必要な場合もありますので、早めに調査を依頼しましょう。
1.希望の間取りへ変更できないことも
マンションリノベーションでは、建物の構造により、間取りを自由に変更できないこともあります。
マンションの主な構造は2つのタイプがあります。
1. ラーメン構造
ラーメン構造は、柱や梁(はり)が主体で建物を支える構造です。間仕切り壁を取り外して、比較的自由に間取りを変更することができます。しかし、構造躯体(柱や梁)を壊すことはできません。
- ラーメン構造では、柱や梁が重要な役割を果たしているため、これらの構造躯体を変更することはできません。
- 柱や梁の位置によって、間取り変更後の部屋の形状や配置に制約が生じることがあります。
- 間取り変更時には、柱や梁の配置に合わせた工夫や補強が必要となる場合があります。
2. 壁式構造
壁式構造は、壁で建物を支える構造です。室内に撤去できない壁が残るため、間取り変更には壁の位置変更や撤去に制約があります。
- 壁式構造では、壁が建物の耐力を担っているため、壁の位置変更や撤去には慎重さが求められます。
- 壁の配置や強度によって、間取り変更の自由度が制約されます。
- 間取り変更の際には、壁の位置変更に伴う構造上の影響や安全性の確保に配慮する必要があります。
マンションの構造がわからない場合は、担当者に相談して現地調査を実施しましょう。
2.配管の場所によって、水回りの移動が制限される
キッチンやユニットバスなど水回りのリノベーションでは、床の構造や配管の通り道によって、水回りを移動できる範囲、自由度が大きく異なります。
床の構造が二重床であり、給排水管が床スラブ(コンクリートの床)の上を通っている場合、水回りの移動は比較的自由に行えます。二重床によって配管が覆われており、床下には十分なスペースがあるため、給排水管の移動が可能です。また、床下の空間には排水のための勾配が必要ですが、床下の高さにゆとりがあるほど水回りの移動範囲も広がります。
以下は、二重床配管のイメージ図です。
一方、直床(床スラブ貫通配管)構造では、給排水管を移動できるスペースが存在せず、水回りの移動が大きく制限されます。直床構造では、床スラブに配管が埋め込まれており、そのために配管の移動が難しくなります。
以下は、直床配管のイメージ図です。
つまり、床の構造や配管の通り道によって、水回りを移動できる範囲が大きく異なります。
配管の位置は調査が必要な場合もありますので、早めに調査を依頼しましょう。
3.マンション管理規約を事前にチェック
マンション管理組合の定める規約により、リノベーション内容が制限される場合もあります。事前にマンション管理規約をチェックしてみましょう。 マンション管理規約の内容に不安がある場合は、担当者に相談してみましょう。
4.売却時の資産価値が下がることも
マンションリノベーションは資産価値を高めることができますが、極端に個性的なリノベーションをすると、マンション売却時の資産価値が下がる可能性もあります。
一方、マンションリノベーションにおいて、売却時の資産価値を高めるか、または維持するためには、以下のような要素に着目することが一般的です。
- キッチン・バスルームのアップグレード: キッチンやバスルームは購入者にとって重要なポイントです。古くなった設備やデザインをアップグレードし、機能性やデザインの魅力を高めることができます。
- フローリングや内装のリニューアル: 床や壁のリニューアルは、マンションの印象を大きく左右します。新しいフローリング材や内装材を使用することで、清潔感や高級感を演出することができます。
- 収納スペースの改善: 収納スペースの充実は、多くの人にとって重要な要素です。収納の工夫や増設を行うことで、使い勝手の良い空間を実現することができます。
- エネルギー効率の向上: エネルギー効率の高い設備や断熱材の導入は、維持費の削減や環境への配慮が求められる現代において重要な要素です。省エネ設備や断熱材の改善を行うことで、将来の負担を軽減することができます。
- レイアウトの改善: マンションのレイアウトは、住み心地や使い勝手に大きな影響を与えます。間取りの見直しや間仕切り壁の撤去など、より開放的で使いやすいレイアウトを実現することができます。
- バルコニーの活用: バルコニーやテラスの活用は、居住空間の魅力を高めます。屋外空間のデザインや機能的な使い方を考え、魅力的なエクステリア空間を実現することができます。
さらに、売却時の資産価値を高めるためには、地域やターゲット層のニーズ、予算とのバランスなどを考慮する必要があります。トレンドや市場の需要、地域の特性や競合物件との差別化を考慮しながら、過剰なリノベーション費用をかけすぎないことがポイントです。
まずは不動産の専門家やリノベーション業者との相談を通じて、トレンドや需要動向を把握し、最適なリノベーションプランを立てましょう。
リノベーションによりマンションの資産価値を高めたい場合は、リノベーションの担当者と相談しながら計画するとよいでしょう。
マンションリノベーションの流れ
マンションリノベーションで理想の家づくりを実現するためのステップをご紹介します。
1.理想のデザイン、間取りのイメージを決める
以下の資料を活用しながら、実現したい生活イメージ、リノベーションの間取り、デザインを決めていきましょう。まずは資料やカタログを取り寄せてみたり、相談をされたりすることをおすすめします。ショールームを見学するのもおすすめです。
2.マンションリノベーションの時期、工事期間を確認する
リノベーションを実施する時期を想定し、実際に工事にはどのくらいの期間がかかるのかを確認しましょう。並行して、施工期間中の仮住まいをどうするのかについても調べておきましょう。三井デザインテックでは仮住まいについてもサポートさせていただきますので、お気軽にご相談ください。
3.費用を調べて予算を決める
まずはリノベーションに必要な費用を調べながら、希望予算を決めましょう。実際の事例を見るうちに「あれもいいな」「これも入れたいな」とやりたいことはどんどん増え、予算よりも膨らんでしまう傾向にあります。最初にまず大まかな予算を決めてしまいましょう。
次に、実現したいマンションリノベーションの費用相場を調べてみましょう。費用相場を確認することで、予算の範囲内でどのようなリノベーションプランを実現できるのか、イメージをつけやすくなります。
また、資金計画も重要です。資金計画を立てるときには、マンションリノベーションに利用できる補助金、必要な税金手続きやローンなども調べておきましょう。
4.実現したいイメージを伝え、見積もりを依頼する
マンションリノベーションの実際の費用は、マンションの特性によっては相場と異なる場合もあります。実際に見積りを確認するまで明確な費用は分かりませんので、早めに見積りを依頼しましょう。
担当者が決まったら、補助金やローンについても相談できますので、リノベーションを検討し始めたらまずはいちど相談してみることをおすすめします。
マンションリノベーションをトータルでサポートいたします
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