三井デザインテック

憧れの鎌倉で戸建て住宅をリノベーション。古き良きヨーロッパの街並みに佇むようなレストランへ。

#戸建てリノベーション#100㎡~#31年以上#2020年~#夫婦#その他#ナチュラル#カフェ風#中古購入

Data

 

Subrideo Restaurare

神奈川県鎌倉市長谷2-3-30
TEL 0467-40-3259

住まいのリフォームコンクール
2022 優秀賞 受賞

鎌倉に憧れを抱き続けてきたYさんが、レストランの移転と住み替えを決めたのは2年前。東京の恵比寿で店舗兼住宅として借りていた、ご両親所有のビルを売却したことがきっかけでした。

賑やかな通り沿いにあった恵比寿のレストランは、誰もが気軽に入れるカジュアルな店舗でしたが、古都鎌倉で営むレストランとしてYさんがイメージしたのは、古き良きヨーロッパの街並みにも合うような、趣のあるシックなお店。目を引く外観でお客様を呼び込むよりも、近隣の方にずっと愛されるような店づくりがしたいと考えたのです。

選んだのは、静かな住宅街に佇む中古物件。41年という経年を感じさせない、きれいな一軒家でした。延床面積はおよそ150㎡。木造2×4工法で建てられた専用住宅の1階部分を店舗に、2階を夫婦2人の住まいにリノベーションしました。レストランのエントランスと住居用の玄関それぞれを設けることで、Yさん夫妻のプライベートな住居空間を確保しています。

レストラン入口。
アプローチの道路側端にあるライトが点いていれば、それが営業中のサイン。右手の壁にかかる木製の看板は、恵比寿のレストランで使用していたもの。外壁は既存の凸凹パターンを生かして、エイジング塗装を施しています。

「新しいもの」よりも「古いもの」「味のあるもの」をイメージ

もともとアンティーク好きだったYさんの要望は、最初からはっきりしていました。「新しいもの」よりも「古いもの」「味のあるもの」。恵比寿のお店にあった壁の一部や木製カウンター、看板や照明をそのまま持ち込んで、仕上げの塗装は限りなくラフなイメージで。ヨーロッパの裏路地に佇むような、小さなレストランを目指しました。
「自分の夢や理想が、少しずつ形になっていくのが、とても楽しかった」と笑顔で話すYさん。もともとイメージされていた外観や内装、お気に入りの食器に合わせて、壁の色やテーブル、照明器具をセレクトしていきました。そして憧れの地・鎌倉に、ついに思い描いていたレストランが完成したのです!
昨年12月オープンした鎌倉のレストランで提供するのは、Yさんが創作するチーズ料理。恵比寿のお店の時にはなかったコース料理も加わって、来店したお客様がゆったりと寛げるスタイルとなりました。最近では、恵比寿の時のお客さまがわざわざ訪れて、都心にあった時とは違う雰囲気の中で味わう料理を楽しんでいくそうです。

1階/レストランスペース
延床面積150㎡の住宅の1階が、
趣のあるレストラン空間へ変身!

1階店舗は、天井高269cmの広々とした空間。既存の床を下げ、天井をギリギリまで上げる工夫をしたことで、圧迫感が軽減されました。

庭に面した大きな窓には、高さ2m20cm余りの高断熱サッシを採用。壁にも断熱材を入れ、店舗全体の断熱性能向上を目指しました。綿密な換気・空調設備の設計も相まって、室内の空調を効率的にコントロールしています。右奥のショーケースに、あらゆる種類のチーズが入っているのは、チーズ料理のレストランならでは。

エントランスを進むと目に飛び込んでくるサインが書かれた壁は、恵比寿の店舗にあったものを移築。レストランにチーズを納入する生産者さんたちのサインです。Yさんのチーズをつくる人への感謝と敬意の深さを感じます。天井は化粧梁で折り上げにしてシャンデリアを吊るし、年を重ねた雰囲気をつくりました。また右側の壁に、たくさんの小さな額を配することで、個性的な空間が完成しています。

庭に面した個室は、窓で切り取られた屋外の緑が印象的な空間。間仕切りは、泡状のアンティークガラスの入った重厚感のある引き違い戸を使用しています。テーブルはセミオーダーの木製家具。天板には、古く鄙びたイメージを醸しだすため、焼き色をつけてエイジング加工を施しました。

客席と厨房の間には、恵比寿の店舗で使っていた4m60cm余の長いカウンターを設置して、サービススペースに。お客様の食事の進行を見ながら、次の作業を準備することができます。廊下へと続くアーチのデザインも印象的。

お客様用のトイレは、客席の雰囲気との統一感を考えて、ベージュやブラウンのカラーリングを基調に。壁の昆虫のオブジェは、ワインの外側の栓を集めて制作したYさんのお店のスタッフの作品。店のどこかに飾りたいと要望されたものです。

2階/居住スペース
住居部分はコンパクトながらも、
収納スペースがたっぷり。

南側の庭にある樹木は、2本のトネリコ以外を大きな植木鉢にすることで、状況に合わせて自由に動かせるようにしました。

2階のリビング・ダイニングとベッドルーム。居住空間はコンパクトで使いやすいプランとなっています。

各所に収納スペースを設けることで、すっきりとした暮らしが実現しました。