三井デザインテック

マンションリノベで極める「茶室」の設え

#マンションリノベーション#31年以上#2010~2019年#夫婦+子ども#その他#和モダン#和風#中古購入#メゾネット

Data

構造
RC造
リフォーム面積
78.99m²
築年数
36年
改装範囲
部分改装
家族構成
40代・4人家族

3階建てのメゾネットマンションを中古で購入したお施主様。1階の1部屋を御主人の趣味である「茶道」を楽しみ、来客をもてなす為の「小間の茶室」へとリノベーションすることにしました。

12畳の空間に「3畳+台目畳」「待合」「水屋」を計画しました。来客と亭主の動線、茶室であっても多用途の空間として使用できる様に、にじり口だけではなく貴人口も設けました。

点前座を亭主の謙虚さを示す台目畳、中柱袖付の台目構えとしたのは、お施主様のご要望。 マンションの中を感じさせない様に、天井やディティールの意匠にこだわり、材料も吟味して決めました。

平天井・掛込天井、点前座上の落ち天井など、其々の材料は十分に吟味したものを使用。現代にあるものは空間から排除するというお施主様のこだわりで、照明器具は付けず、点前座横の色紙窓内部に間接照明とコンセントを仕込みました。

[ 平天井 ]杉貼り杢天井着色・染スス矢竹

[ 落天井 ]代萩丸板ベニヤ・半スス竹

[掛込天井]黒部杉野根板・半スス竹

[上下廻縁]香節丸太

[床の間天井]黒部杉ヘギ板矢羽根網代

桐の二重棚は利休流。 上下大きさを揃え、下段のものが壁留の下に見えるように設置。
床柱には赤松天然皮付き丸太を使用。ツラ付けをして自然の木目を見せた。中柱は香節丸太。
待合には奥様お手持ちのアンティークの照明を。
現場造作で設えた下地窓。床框はツラ付きの杉磨き丸太を使用。
換気を考慮して電気炉を採用。床を全体に上げて取付けを行った。
白竹の連子窓で自然光を取り入れた。
水屋の設え。杉の腰板・落し掛けは染めスス竹通し棚3枚、杉の持ち送り香狭間。
茶室へのアプローチには幻想的なブラックのクォーツサイトを施工。光のコントラストで陰影が浮き上がり、多彩な表情を見せてくれます。
陰影が作るコントラストが「侘び寂び」を感じさせます。
下地窓は変化を出すため、二本三本ランダムに皮付き葭を配置。「縦が外」「横が内側」藤づるで葭を緊結した。

Before

After

Before

担当者の声

リフォームプランナー®
高田 静穂|一級建築士

茶室を設えるにあたって「現代の文化を取り入れるのはNG」というのが、最初にお客様が仰られたリクエストのひとつです。エアコンやコンセントなどは違和感のないように設計しました。

お茶のお点前の時、畳の目の数で道具の置き合わせを決めていくため、畳の大きさは京間畳、ヘリから必ず目が始まるようになど、寸法やおさまりの決まり事が全て深い意味を持つということを改めて勉強できました。

ながい歴史に培われてきた『お茶室』の底知れぬ奥深さに触れ、とても良い経験をさせて頂きました。

施工・品質担当
坂本 達郎

もともとの和室の広縁部分に待合を設け、「躙り口」を潜って茶室へと入る本格的なお茶室のリフォームです。和室から茶室へのコンバージョン(用途変更)という表現の方が正しいかも分かりません。

茶室の奥の水屋までの給排水管経路の確保に苦労しました。また、大工・左官・建具・畳など伝統工芸の職人技と、一人の大工が一つ一つの材を匠の技で丁寧に刻んでいく作業がとても印象深い現場でした。

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