戦後まもなくからある銭湯。高い煙突のある風景が地元になじんでいましたが、2011年4月、惜しまれながら廃業しました。「この建物を地域の人たちに貢献できる場所として再生させられないだろうか」そんなオーナー様の思いを受けて、このプロジェクトが立ち上がりました。駅に近く、ある程度広さのあるこの建物は、旧耐震基準で建てられたものではありながら、耐震診断の結果、補強の必要はなしという結果が出るほど頑丈なつくり。いろいろな可能性が考えられましたが、オーナー様の希望である公共性、そして収益性を考えて建て替えせずに「介護・福祉施設」へのコンバージョンすることと、介護事業者とのマッチングを提案。銭湯で使用していた昔懐かしい木札、桶、柱時計、体重計などをインテリアとして再利用し、かつての銭湯のお客様たちが集う、再び笑顔あふれる場へと生まれ変わりました。また、街のシンボル的存在の煙突はそのまま残し、新しい事業に変わった今も、かつてと変わらずすばらしいランドマークとなっています。
阿部操