三井デザインテック

実家リフォーム(リノベーション)の基礎知識

高齢の両親が住む実家の傷みや不具合が気になり始めたり、親との同居を考えたりしたことがきっかけで実家のリフォーム(リノベーション)を検討する人は多いでしょう。 ここでは、実家をリフォームする際に知っておきたい基礎知識について解説します。

実家リフォーム(リノベーション)を行う上でのポイント

実家のリフォーム(リノベーション)を行うにあたって、最初に確認しておきたいポイントは次の3つです。

リフォームで何を解決したいのか

「高齢の両親が二人で住む上で、安全で住み心地の良い家にしてあげたい」「二世帯住宅にしたい」など、解決したい課題によって行うべきリフォームの内容は異なります。最初に目的を明確にしてから、具体的なリフォームの計画を進めていきましょう。

家族でしっかり話し合いをして、全員が納得できているか

親世代が介護施設に入居した、亡くなったなどの事情で、空き家になる住宅が年々増えています。 総務省の統計によると、2018年の空き家の数は840万戸、空き家率は全国で13.6%となっています。老朽化による倒壊や火災のほか、不法侵入や放火といった犯罪の温床になるなど、空き家に端を発する問題も目立つようになりました。 こうした問題を解決すべく、2015年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法(通称、空家等対策特別措置法)」では、空き家の放置に対して、固定資産税の優遇措置停止や、行政代執行による強制的な解体が行われる場合も出てきました。これによって、空き家となるリスクがある実家を持つ人にとって、その管理はより一層切実な問題となっています。 しかし、空き家対策を見据えたリフォームの提案は、両親と自分たち家族の人生を大きく左右するものです。両親が、いずれ高齢者施設に入るのか、住み慣れた実家で暮らし続けたいのかといったデリケートな部分にも関わってくるため、簡単に話題にしにくいという人も多いかもしれません。お盆やお正月など、家族全員が集まるタイミングをうまく利用して、これからの暮らしについて話し合う時間を設けましょう。誰か一人が結論ありきで議論を引っ張るのではなく、全員が納得できるまで意見を出し合うことが大切です。

二世帯住宅にするなら、その目的と暮らし方を共有しておく

異なる家族が1つの住宅に暮らす二世帯住宅。どんなに仲の良い家族でも、あまりに密接すぎたり、反対に秘密主義になりすぎたりすると、さまざまなトラブルの原因になります。 よく話し合って、ちょうど良い距離感を探りましょう。

実家リフォーム(リノベーション)でよく行われる内容

バリアフリー化

建てられてからかなりの時間が経過している実家は、バリアフリー化の工事を行うことで、子供から大人まで、誰もがいつまでも安全、快適、便利に暮らせる住環境にすることができます。 主なバリアフリー化の内容は下記のとおりです。
  • 手すりの設置 高齢者はもちろん、歩き出したばかりの子供にも、手すりは有効です。浴室、洗面所、玄関から廊下、階段などへ手すりを設置し、安心して室内を移動できる状態にします。
  • 段差の緩和・解消 玄関のたたきから自宅、洗面所から浴室といった生活動線にある大きな段差を緩やかにし、転倒を防ぎます。 また、つまずいたり引っかかったりしないよう、リビングと和室の境目、廊下と部屋の境目などにあるちょっとした段差を解消します。
  • 出入り口の幅の拡張 玄関や、室内の動線にある出入り口を、車椅子でも通れるように拡張します。
  • 温熱環境の改善 脳卒中や心不全を引き起こすヒートショックを防ぐため、家の中の温度差をなくします。窓や開口部の断熱性向上や、24時間換気システムの導入などが挙げられます。
  • 寝室と水回りの近接 年配になると、夜中にトイレに立つことが多くなります。寝ぼけて転倒をしたり、ストレスを感じて尿意を我慢したりすることがないよう、寝室と水回りを近接させる工事を行います。

防災対策

築古の家は、旧耐震基準で建てられていたり、耐火性に劣る素材で建てられていたりと、防災面に不安がある場合があります。 主な防災対策の内容は、下記のようなものが挙げられます。
  • 耐震性強化 傷んだ柱や土台を交換し、耐震金物で補強したり、建物を支える耐力壁を追加したりして耐震性を強化します。
  • 防火・耐火性強化 桟瓦(さんがわら)やスレート、耐火性の高い金属などを使用した屋根の耐火性アップのほか、延焼を抑えるための防火扉やドレンチャー(隣家で火災が起きた場合、延焼を防ぐために水を放出し水幕を張る、建物の屋根や外壁などに置かれる設備)の設置などが、防火・耐火対策に有効です。
  • 台風・竜巻・ゲリラ豪雨等への対策 台風や竜巻、ゲリラ豪雨などで窓ガラスが割れるのを防ぐため、雨戸やシャッターを備えつけて雨風から守るほか、万が一の破損に備えて、防災防犯ガラス、耐震ガラスに取り替えます。

二世帯住宅化

実家のリフォーム時に、大きく手を入れて二世帯住宅にするケースも考えられます。 主な二世帯リフォームの種類は下記のとおりです。
  • 完全分離型 完全分離型とは、住戸内にそれぞれ玄関、キッチン、浴室などの設備を設けて、親世帯と子世帯の生活空間を完全に分離するスタイルです。
  • 部分共用型 部分共用型とは、玄関、キッチン、浴室など、住戸内の一部の設備を親世帯と子世帯で共用するスタイルです。
  • 完全同居型(共用型) 完全同居型(共用型)とは、玄関、キッチン、浴室など、住戸内の設備をすべて親世帯と子世帯が共用するスタイルです。

実家リフォーム(リノベーション)の事例

ここからは、三井のリフォームが携わった、実家リフォーム(リノベーション)の事例をご紹介します。

CASE1

親子3世代、「家に自分たちを合わせる」ことで歴史ある建物を大切に住み継ぐ

築年数
90年
リフォーム面積
121平方メートル
リフォームにかかった費用
4,000万円

大正期に建てられた、木造2階建ての洋風のこの建物は、かつては医院として使われていました。建築当時の様子をとどめる希少な建物として、自治体から景観重要建築物の指定を受け、以前は一部公開もされていたとのことです。 住み家にしたいとお考えになったことがきっかけとなっています。

Before

After

間取り図

<リフォームの内容>

この建物のリフォームには、大きな課題が2つありました。ひとつは、鎌倉市の景観重要建築物の指定を受けているため、外観の大きな変更ができないということ。そして、建物が建てられている地盤が弱く、耐震性を高める必要があるが、実際に補強や土壌工事を行うとなると、歴史的埋蔵物が多い土地のため、費用が大幅にかさむこと。 ご主人が複数社に技術提案と見積もりを依頼した結果、外観を損なうことなく内部のプラン変更と併せて梁や壁を補強し、1階の居住部分を重点的に耐震化するプランを評価いただき、三井のリフォームにご依頼いただきました。建築当初から使い込まれてきた内装や、建具、家具などをできる限り再生させる方針も、ご主人の思いに合致したようです。 耐震性を向上させて、次世代にも引き継げる愛着ある建物にしたい。また、家に家族や友人を招いて過ごす機会を増やしたいので、それにふさわしい造りにしたいというご要望をもとにリフォームを実施。 1階は、耐震補強のための柱や壁は残しつつオープンな1LDKに近づけて、ご家族や友人との時間を楽しめる造りにしました。元々あった家具や建具、照明器具などは、できる限り補修して再生しています。

CASE2

リフォームで愛着が生まれ、自然と家族が集まる家に

築年数
7年
リフォーム面積
112.6平方メートル
リフォームにかかった費用
1,420万円

実家でのご両親との同居を機に、ご家族が住まれる2階部分をリフォームすることになりました。家族が居心地良くくつろげるLDK、開放的な洗面所・浴室、収納の増設などで暮らしやすくするだけでなく、奥様好みの素敵な内装にしたいという強いご希望がありました。モデルルームのデザインが奥様ご希望のイメージとぴったりだったこと、対応の感じが良かったことから、三井のリフォームにご依頼をいただいています。

After

間取り図

<リフォームの内容>

洋室を1室、リビングに取り込み、既存の吹き抜けを活かして広々とした団らんスペースを実現。洗面所、浴室、トイレは、かつて書斎だったスペースも加えて広くし、明るく一体感ある配置にしました。また、寝室、ユーティリティ(家事室)、廊下に、大容量の収納を新設しています。 内装は奥様の好みに合わせて、素材感を活かした大人っぽいナチュラルテイストを選択。鉄骨の柱を囲う木材に古材風の加工を施しているほか、壁の塗り方にもこだわっています。

贈与税に注意!

親名義の家を、子供が費用負担してリフォームする場合、子供から親に財産を贈与したとみなされ、贈与税の対象となります。贈与税は1年間で110万円を超えると課税の対象となりますので、110万円をひとつの目安として対策を考えましょう。 具体的には、建物を親から子供に贈与する、もしくは親から子供に売却し、名義変更を行う方法があります。この場合、贈与税や譲渡所得税などがかかりますが、対象となる建物が古ければ税額を低く抑えることができます。

補助金・減税の活用

実家のリフォーム(リノベーション)を行いたいけれど、費用は抑えたい…。そんなときに考えたいのが、補助金や減税といった制度の活用です。 リフォームに関する補助金は、一定の要件を満たすリフォームについて、国や自治体が費用を補助するものです。対象となるのは、省エネ、断熱・耐震、バリアフリーのほか、長期優良住宅化(既存住宅の長寿命化など)、家事負担軽減に関するリフォームです。 また、リフォームの目的によっては、所得税、固定資産税、贈与税といった税金が優遇される場合があります。 リフォーム前に専門家によるインスペクション(住宅診断)を依頼するなどして、条件を詳しく確認した上でリフォームを行うといいでしょう。

三井のリフォームの費用に関する考え

三井のリフォームでは、比較的大規模な工事を伴うリフォームを多く手掛けていることもあり、「三井のリフォームは高い」というイメージを持つ方が多いようです。 しかし、リフォームは千差万別で、お客様のこだわりや求める機能、建物の状態によって費用が大きく異なります。三井のリフォームでは、「かけるべきところはかけ、削るべきところはきちんと削る」ことを心掛け、必要なコストだけをかけたリフォームを行っています。 もし、「良いリフォームが安くできますよ」という業者がいたら要注意。安いことには、必ず理由があるはずだからです。リフォームは、一生のうちで何度とない高額な買い物のひとつ。しかも、毎日暮らす住まいのことです。高品質とコストダウンを無理なく両立したリフォームで、後悔のない住まいを造りましょう。

実家リフォームは三井のリフォームにご相談を

実家のリフォームは、大規模なリフォームを多く手掛けてきた三井のリフォームの得意分野です。 今、実家のリフォームを検討されている方は、ぜひ三井のリフォームにご相談ください。住環境をより良く、より快適にするリフォームプランをご提案いたします。

2020.11.11時点の情報です

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