三井デザインテック

二世帯住宅リフォームの基礎知識

「高齢の両親が心配」「夫婦共働きなので、自分の子供の世話を親にもしてほしい」といった理由で、実家を二世帯住宅にリフォームし、親との同居に踏み切るケースは多いものです。 ここでは、二世帯住宅へリフォームをする上で知っておきたい基礎知識について解説します。

二世帯住宅リフォームのメリット

二世帯住宅へリフォームすることによってどのようなメリットを得ることができるのでしょうか。代表的なメリットをご紹介します。

親の介護がしやすい

高齢になった親の介護は、離れて暮らす子世代にとって重要な問題です。介護が必要になる前に家族で話し合い、全員が納得できる暮らしの形を話し合っておきましょう。 親が「子供たちの世話にはならず、独立した暮らしをしたい」「いずれは老人保健施設に入ると決めている」という場合は、二世帯住宅にせず、実家の安全性や機能を高めるリフォームでもいいかもしれません。 子供の「そばにいてあげたい」という気持ちと、親の「そばにいてほしい」という気持ちが合致したら、介護しやすい二世帯住宅へのリフォームをおすすめします。

子育てに協力してもらえる

二世帯住宅の良さは、親世代に子育てをサポートしてもらえることが挙げられます。夫婦共働きで手が回らない場合の物理的な手助けという意味ではもちろん、精神的な支えがあることで、慣れない育児に追い詰められずに済むという意味でも、親がそばにいてくれるのは心強いものです。 加えて、親の世代が育児に関わってくれることで、子供は礼儀正しさやお年寄りへの優しさ、多様な価値観などを身につけることができます。

経済面で助け合える

二世帯住宅は、親が所有する土地に子供がローンを組んで建てたり、親名義の土地建物のうち建物の名義を子供に移して子供の資金で建て替えたりするケースが多く、自己資金がない親世代にとっても、土地を購入する必要がない子世代にとっても経済的なメリットがあります。 さらに、光熱費などの生活費や、建物の修繕にかかるお金なども折半し合うことで、日常のコストも削減することができるでしょう。ただし、費用負担の割合については、二世帯住宅を建てる前にしっかり話し合い、双方の合意を得ておくことが大切です。

二世帯住宅の種類

二世帯住宅には、大きく分けて、完全分離型、一部共有型、完全同居型の3つの種類があります。それぞれについてご説明します。

完全分離型

完全分離型とは、住居内に玄関、キッチン、浴室などの設備を複数設けて、親世代と子世代の生活を完全に分離するスタイルです。 親世代と子世代では、生活のリズムや習慣などが違うため、あまりに密接すぎるとお互いにストレスを抱えることになりかねません。完全分離型の二世帯住宅は、必要なときはすぐに声をかけたり、助け合ったりできる距離にいながら、プライバシーを保ちたいという家族に適した住み方だといえるでしょう。

一部共有型

一部共有型は、玄関、キッチン、浴室など、住戸内の一部の設備を親世代と子世代が部分的に共用するスタイルです。 適度にコミュニケーションをとりながら、プライバシーも守ることができます。どこを共有し、どこをプライバシーゾーンとするかは各家庭の考え方によって異なりますが、「食事は親世代と子世代でいっしょに楽しみたいからキッチンやリビングを共有するが、それぞれに来客が多いので玄関は分離する」といったように、どんな暮らしをしたいかを前提に考えるといいでしょう。

完全同居型(共有型)

完全同居型(共有型)は、玄関、キッチン、浴室など、住戸内の設備をすべて共用する二世帯住宅です。生活に必要な設備が1つで済むので、各居室を広く取れること、光熱費などを節約できることが最大のメリットです。 また、人手が必要なときにすぐ気づくことができるので、子育てや介護の協力がしやすいスタイルでもあります。子供たちも、大家族ならではの温もりを感じながら成長していくことができるでしょう。

二世帯住宅リフォームを行う上でのポイント

二世帯住宅へのリフォームを行う上では、次のような点を事前に確認することをおすすめします。

家族が十分に話し合うこと

二世帯住宅にリフォームするということは、価値観や生活スタイル、習慣が異なる2つの家族が生活を共有するということです。家事や子育ての負担軽減、親の介護など、双方にメリットがある一方で、暮らしが近接することによって見えてくる価値観のずれと向き合わなくてはなりません。干渉の許容範囲と、絶対に立ち入ってほしくない部分については、計画段階でしっかり話し合いましょう。

リフォームの流れを把握しておくこと

二世帯住宅のリフォームは、計画から見積もり、着工、完成まで、規模が大きい場合は約半年ほどの期間がかかります。その間、仮住まいをする場合は住居や引越しの手配をしなくてはなりません。全体の流れと必要な期間を把握し、やるべきことを整理しておきましょう。

建ぺい率や容積率、建物の高さを考慮すること

二世帯住宅リフォームでは、二世帯が共に暮らすのに十分な床面積が必要です。しかし、1つの土地に建てられる建物の大きさは、建築基準法によって上限が決められており、既定の建ぺい率や容積率を超えることはできません。また、建物の高さについても、周囲の日当たりなどを確保するために、上限が定められています。

生活を始めてから起こりうる問題への対処法を事前に考えること

実際の生活を始めてから出てくる問題もいくつかあります。このような問題もリフォーム前に把握し、対処しておきましょう。 ひとつは生活音の問題。例えば1階と2階で生活空間が分かれている二世帯住宅の場合、上階の生活音が気になるというケースは多いようです。遮音マットを敷いて、生活音を物理的にシャットアウトする方法もありますが、間取りを考える際に、上下の相互関係を考慮することも大切です。居間の上には居間を、寝室の上には寝室をというように、生活シーンの似た部屋を1階、2階ともに同じ位置にするようにすれば、生活音が気になることは少なくなります。 光熱費の分担も、問題になりやすいです。お互い不公平感が出ないようにするためには、世帯ごとに光熱費の契約を行うか、電気やガスをどのくらい使ったのかがわかることが重要です。 電気の場合、玄関が2つあれば世帯ごとの個別契約が可能となります。玄関が1つの場合、親世帯、子世帯、共用スペースが明確に区分されていれば、メーターを2つ設置できます。また、メーターが1つの場合でも、子メーターを設置することで、世帯ごとの使用量が明確になります。 ガスは、玄関の数にかかわりなく、希望すれば世帯別での契約が可能です。また、子メーターを設置すれば、世帯ごとの使用量がわかります。 水道は1つの住戸に1つのメーターが原則ですが、私設の子メーターを設置すれば、世帯ごとの使用量を知ることができます。

二世帯住宅リフォームでよく行われる内容

それでは、実際に二世帯住宅リフォームを行う際に、どのような内容のリフォームが行われるのでしょうか。 ここからは、二世帯住宅リフォームをする際によく行われる内容をいくつかご説明します。

キッチン、浴室、トイレなどの増設

従来は居室だった部分に水回りを増設して、1世帯分の暮らしの場を造ります。 例えば、2階建ての住居で、1階に親世帯、2階に子世帯が住む場合、2階に新たなキッチンを増設してほかの部分は共有したり、2階部分にキッチン、トイレ、浴室を造って二世帯の生活を完全に分離させたりします。

家の増築

今のままだと、二世帯住宅にするには家の面積が足りない場合、増築をします。 この場合、容積率や建ぺい率、建物の高さの制限を超えないように考慮することが重要です。

玄関の増築

二世帯住宅を完全分離型や一部共有型にタイプにする場合、多くは玄関を増築して、別々の生活動線を設けます。例えば、2階建ての住居の場合、1階部分に2つの玄関を設けるケースもあれば、1階に1つ、階段で上がった先の2階に玄関を新たに1つ設けるケースもあります。

二世帯住宅リフォームの事例

ここからは、三井のリフォームが携わった、二世帯住宅リフォームの事例をご紹介します。

CASE1

子供の誕生をきっかけに、生家を二世帯住宅に

築年数
27年
リフォーム面積
115平方メートル
リフォームにかかった費用
2,675万円

お子様が生まれたのを機に、施主であるご主人の実家を、ご自身のお母様といっしょに住めるよう、二世帯住宅として再利用することになりました。ご主人のお仕事は時間が不規則なため、遅く帰っても家族に迷惑をかけないこと、お互いの生活を大切にしながらも気配を感じられる住まいにすることを重視されています。また、1階に住むお母様は、湿気がこもらないよう風通しを良くすることと、将来に備えて車椅子でも暮らせるバリアフリー仕様にすることを希望されていました。

Before

After

間取り図

<リフォームの内容>

生活時間が違う家族がそれぞれのびのび暮らせるようにと、リビングダイニングを核として、個室をつなげた間取りを提案。併せて、玄関と浴室を共用部分とすることで、お互いの存在を感じ合えるように配慮しました。階段の勾配を緩やかにし、風が抜ける通風雨戸・引き戸を採用。一部を珪藻土仕上げとし、湿気を減らし快適に暮らせる環境になっています。

贈与税に注意!

親名義の家を、子供が費用負担してリフォームする場合、子供から親に財産を贈与したとみなされ、贈与税の対象となります。贈与税は1年間で110万円を超えると課税の対象となりますので、110万円をひとつの目安として対策を考えましょう。 具体的には、建物を親から子供に贈与する、もしくは親から子供に売却し、名義変更を行う方法があります。この場合、贈与税や譲渡所得税がかかりますが、対象となる建物が古ければ税額を低く抑えることができます。

補助金・減税の活用

二世帯住宅リフォームを行いたいけど、費用は抑えたい…。そんなときに考えたいのが、補助金や減税といった制度の活用です。 リフォームに関する補助金は、一定の要件を満たすリフォームについて、国や自治体が費用を補助するものです。対象となるのは、省エネ、断熱・耐震、バリアフリーのほか、長期優良住宅化(既存住宅の長寿命化など)、家事負担軽減に関するリフォームです。 また、リフォームの目的によっては、所得税、固定資産税、贈与税といった税金が優遇される場合があります。 リフォーム前に専門家によるインスペクション(住宅診断)を依頼するなどして、条件を詳しく確認した上でリフォームを行うといいでしょう。

三井のリフォームの費用に関する考え

三井のリフォームでは、比較的大規模な工事を伴うリフォームを多く手掛けていることもあり、「三井のリフォームは高い」というイメージを持つ方が多いようです。 しかし、リフォームは千差万別で、お客様のこだわりや求める機能、建物の状態によって費用が大きく異なります。三井のリフォームでは、「かけるべきところはかけ、削るべきところはきちんと削る」ことを心掛け、必要なコストだけをかけたリフォームを行っています。 もし、「良いリフォームが安くできますよ」という業者がいたら要注意。安いことには、必ず理由があるはずだからです。リフォームは、一生のうちで何度とない高額な買い物のひとつ。しかも、毎日暮らす住まいのことです。高品質とコストダウンを無理なく両立したリフォームで、後悔のない住まいを造りましょう。

二世帯住宅リフォームは三井のリフォームにご相談を

二世帯住宅へのリフォームは、大規模なリフォームを多く手掛けてきた三井のリフォームの得意分野です。 今、二世帯住宅のリフォームを検討されている方は、ぜひ三井のリフォームにご相談ください。それぞれの家庭が快適に過ごせるリフォームのプランをご提案いたします。

2020.11.11時点の情報です

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