三井デザインテック

減築リフォームの基礎知識

子供が独立するなどして家族の構成が変わると、今まで子供が使っていたスペースが使われなくなり、メンテナンスや防犯上の観点から減築リフォームを考えるケースが増えてきます。 ここでは、減築リフォームを行うにあたって押さえておきたい基礎知識をご紹介します。

減築リフォームとは?

減築リフォームは、住まいの床面積を増やす増築リフォームとは反対で、住まいのダウンサイジングを図るリフォームのことです。 減築リフォームを考えるきっかけには、以下のようなことが考えられます。
  • 子供の独立に伴って、子供部屋がいらなくなった
  • 歳を重ねるにつれ、家のメンテナンスが大変になってきた
  • 階段の昇り降りが大変になった
  • 二世帯住宅で、親世代が亡くなった

減築リフォームのメリット

それでは、減築リフォームにはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。まずはメリットを見てみましょう。

メンテナンスが楽になる

人が住まなくなった部屋は、放置すると傷みが進むため、定期的に空気を入れ替えたり、掃除機をかけたりといったメンテナンスが必要です。 使わない部屋のメンテナンスに時間をかけるという精神的な負担感が大きい場合は、減築リフォームで部屋そのものをなくすことで状況を改善できます。 また、リフォームによって、間取りや生活動線が整理されれば、家全体のメンテナンスにかける時間と手間を削減することができます。

固定資産税を抑えることができる

不動産にかかる固定資産税は、延床面積(複数階建ての建物の、それぞれの階の床面積の合計)が広いほど税率が高くなります。使わないスペースや余分なスペースを減築で取り除けば延床面積が減り、税率が下がって固定資産税を抑えることができます。

通風や採光が良くなる

不要になった部屋を取り払い、吹き抜けや中庭などを設けたりすることで、通風や採光が以前よりも良くなります。

耐震性の見直しができる

例えば、2階建てを平屋にすれば、建物の総重量が減って耐震性が向上します。平屋にしない場合でも、減築リフォームを機に、補強工事を行って耐震性の見直しもできます。

冷暖房費が軽減される

建物の面積や部屋が減ることで、減築前の建物から減少した空間分の冷暖房費が軽減されます。また、リフォームによって壁や天井、床下の断熱性を高めれば、電気やガスの消費量をさらに減らすこともできます。専門家によると、断熱性能によっては、リフォーム後の空調換気用のエネルギー使用量が約50%も削減できるとされています。

バリアフリー化を実現できる

減築リフォームにより、1階だけの暮らしにしたりして、将来的に介護が必要になったときに備えたバリアフリーの間取りが実現できます。

減築リフォームのデメリット

続いて、減築リフォームを行う際のデメリットをご紹介します。

仮住まいが必要

減築リフォームでは、家全体に手を入れることになるため、住みながらの工事は不可能です。リフォーム計画と合わせて、仮住まい先を探しておきましょう。

減築リフォームを行う前に気をつけたいポイント

減築リフォームは規模の大きい工事が必要となります。実際に行ってみて後悔することがないよう、減築リフォームを行う前に気をつけておきたいポイントをまとめました。

減築リフォームができる構造かどうか確認する

減築リフォームは、建物の構造によって行えない場合があります。そのため、実際にリフォームできるかどうかの確認が欠かせません。自分たちが行いたいリフォームが構造上可能かどうか、事前に専門業者などからアドバイスしてもらうことをおすすめします。

今後のライフスタイルをじっくり考える

なぜ減築リフォームを行うのか、減築リフォームでどのような住環境を実現したいのか、実際にその家に暮らす家族でしっかりと話し合いましょう。 減築リフォームをしてみたけどお気に入りの家具や家財道具の置き場がない、狭くて移動がしにくいといったことにならないよう、ライフスタイルをじっくり考えた上で計画することが大切です。

減築リフォームのパターン

減築リフォームには、手を入れる箇所によっていくつかのパターンがあります。どのようなパターンがあるのか見ていきましょう。

2階建てから平屋にする

2階建ての家に住んでいるものの、住んでいる人が高齢になって2階への昇り降りが困難になったりした場合に、2階建てから平屋にする減築リフォームがよく行われます。 階段がなくなって1階のみとなるので、階段の昇り降りによる転倒事故防止になります。

2階の一部の部屋を撤去する

2階部分にあった子供が独立して使わなくなった部屋や、採光や風通しを阻害している部屋だけを撤去するリフォームもよく行われます。部屋が減ることで、掃除の手間が省ける、光熱費や冷暖房費を削減できるといったメリットがあります。

平屋の一部を減築する

夫婦二人、もしくは一人で暮らすには広すぎる平屋のうち、使っていない一部空間を減築します。メンテナンスに伴う経済的負担や、生活動線が短縮されたことによる身体的負担の軽減が見込めるほか、採光性や通風性の向上、お隣とのあいだのスペース確保といった効果も期待できます。 また、空いたスペースを庭や車庫に活用することも可能です。

減築リフォームの事例

ここからは、三井のリフォームが携わった、減築リフォームの事例をご紹介します。

CASE1

2階をまるごと撤去して、夫婦二人で住みやすい平屋に

築年数
44年
リフォーム面積
65平方メートル
リフォームにかかった費用
約1,600万円

ご主人が10歳のときに建てられた木造の戸建て。当初は平屋でしたが、16年前に2階を増築しています。同居されていたご両親が亡くなり、また長女は結婚、長男は仕事で家を出ることが決まり、50代となったご夫婦が最小限かつ段差のない動きやすいスペースで暮らせるようにと、平屋に減築するリフォームを決意されました。老朽化した箇所は床下から改修し、設備・仕様も一新して、メンテナンスフリーにしたいとお考えでした。

Before

After

間取り図

<リフォームの内容>

2階を取り払い、残された部分はスケルトン状態にしてリフォームを行いました。また、壁量をアップさせることで、耐震性を向上させています。 収納を増やして動線を確保し、動きやすい環境を確保しながら、バリアフリー化も進めました。

<リフォームのスケジュール>

12月末:三井のリフォームに相談 1月:三井のリフォームによる現場調査 1月末~2月中旬:プレゼンテーション(2回)、ご契約 3月末:仮住まいへの引越し、着工 6月末:竣工

<リフォーム工事の流れ>

1.解体工事

2階をなくす。2階にあった床板は、強度を上げるためにできるだけ残し、その上に屋根をかけることに。

1階は外壁を解体し、土台、柱、梁のみの骨組みの状態に。
2.屋根を張り、構造を補強

平屋の屋根はカラー鉄板葺きに。構造を補強するために壁をバランス良く配置し、外壁周りと床面を構造用合板で固める。傷んでいた土台や柱はこの段階で交換し、必要であれば梁で補強。
3.基礎工事

台所とユニットバスといった水回りは、新規で布基礎(断面が逆T字型になっている鉄筋コンクリートが、家の柱や壁の部分などに連なっている基礎)を打設。また、シロアリの害を防ぐため、防蟻剤は壁面1mの高さまで浸透させる。
4.石膏ボード工事

構造躯体の工事後は、給排水設備、断熱材、クロスの下地となる石膏ボード工事を実施。この段階でユニットバスやサッシ、玄関ドアがつき、床もフローリングが敷かれている状態に。
5.クロスを残して完成

間仕切り壁ができ、収納の造作も完了。システムキッチンも設置された。あとはクロスを張れば完成。

CASE2

思いきった減築で、明るく開放的な住まいに

築年数
30年(北側の建物)、40年(南側の建物)
リフォーム面積
120.13平方メートル
リフォームにかかった費用
1,860万円

40年にわたって、都度改築しながら家族で暮らしてきた住まい。多いときには3世代7人が暮らしていましたが、現在は夫婦二人暮らしに。奥様がいつも過ごす居間が暗く、2階は一部しか使っていないことから、北側半分を平屋にして居間を明るくしたいと考えて、減築を決意されました。三井のリフォームが減築リフォームを多く手掛けているという話を聞き、実際にご相談いただいたところ、女性プランナーの提案内容にも好感を持ってくださったことから、三井のリフォームにご依頼いただくことになりました。

Before

After

間取り図

<リフォームの内容>

増改築を重ねた結果、使い勝手ばかりでなく、風通しや採光、構造面でも問題のあった間取りを一新。必要のないスペースを整理し、セカンドステージの舞台として明るく開放的な住まいをご提案しました。 リビングの暗さを解消するために、リビングを広くするのに合わせて、2階の和室2室を取り壊して屋根を造り、リビングの天井を屋根なりに高くし、東向きの天窓から光を確保できるようになりました。また、サンルームと和室の一部も撤去して、住まいの中央部に中庭を設置。リビングや南側部分に光と風が入るようにしました。また、リフォームによってバリアフリー化、耐震性のアップも図っています。

三井のリフォームの費用に関する考え

減築リフォームに際して、気になるのが費用のことです。リフォームは、検討段階では費用総額がわかりにくく、見積もりが出てから「思っていたより高い!」と驚くことも少なくありません。お客様のご要望や建物の状態によっても費用感が異なるため、費用相場といった目安となる金額を出すのも難しいのが現実です。 特に三井のリフォームでは、比較的大規模な工事を伴うリフォームを多く手掛けていることもあって、「三井のリフォームは高い」というイメージを持つ方が多いようです。しかし、リフォームは千差万別で、お客様のこだわりや求める機能によって費用が大きく異なります。三井のリフォームでは、「かけるべきところはかけ、削るべきところはきちんと削る」ことを心掛け、必要なコストだけのリフォームを行っています。 もし、「良いリフォームが安くできますよ」というリフォーム会社がいたら要注意。安いことには、必ず理由があるはずだからです。リフォームは、一生のうちで何度とない高額な買い物のひとつです。高品質とコストダウンを無理なく両立したリフォームで、後悔のない住まいを造りましょう。

補助金・減税の活用

リフォーム(リノベーション)を行いたいけど、費用は抑えたい…。そんなときに考えたいのが、補助金や減税といった制度の活用です。 リフォームに関する補助金は、一定の要件を満たすリフォームについて、国や自治体が費用を補助するものです。対象となるのは、省エネ、断熱・耐震、バリアフリーのほか、長期優良住宅化(既存住宅の長寿命化など)、家事負担軽減に関するリフォームです。 また、リフォームの目的によっては、所得税、固定資産税、贈与税といった税金が優遇される場合があります。 リフォーム前に専門家によるインスペクション(住宅診断)を依頼するなどして、条件を詳しく確認した上でリフォームを行うといいでしょう。

減築リフォームは三井のリフォームにご相談を

減築リフォームは、建物の構造、工法を十分に理解した上で計画を立てる必要があります。 三井のリフォームでは、2006年度の「住まいのリフォームコンクール」において「2階建てを平屋にした減築リフォーム」で国土交通大臣賞を受賞するなど、対外的な評価も高い減築リフォームの実績を持っています。 減築リフォームをお考えの際は、三井のリフォームにぜひご相談ください。

2020.11.11時点の情報です

前のページに戻る