三井デザインテック

ポジティブシングルライフリフォーム

シングルライフだからこそ必要な「安らぎ」と「つながり」
ポジティブ・シングルのための快適リフォーム。

単身者、単身世帯の数は、1980年以降増え続け、今後も増え続けると予測されています。単身者となる理由は、非婚・離婚や高齢化による配偶者の死別など、人それぞれ。子どもと親の同居が減ったのも要因の一つとなっています。

現在、三井のリフォームで行っている単身者リフォームの顧客層は40〜60代の女性がメイン。女性は男性と比較して、高齢になってもよりよい生活への要求をもち、ポジティブに生活される方が多いようです。そんなシングルライフリフォームの傾向は、最初に日常の自分のためのスペースを充実させること、そしてさらに余裕があれば、人が集まったり泊まったりするスペースを整えることに分類されます。シングルライフリフォームは、一人でいるときは「安らぎ」を感じる空間を、そして人が集まれば「つながり」を感じることができる空間を求めた、ポジティブ・シングルの快適リフォームなのです。

快適なひとり用の住まいづくり

「広さ別」リフォームのポイント 面積によるしつらえの違い(40m2・60m2・80m2

床面積によるメリット・デメリット

床面積によるメリット・デメリット

各プロトタイプの場所別要素

  40m2 60m2 80m2
形態 ワンルーム 1LDK 2LDK〜3LDK
寝室 オープンタイプ セミオープンタイプ 独立タイプ
収納 クローク クロゼット クロゼット+シューズクローク
書斎 なし コーナータイプ 独立タイプ
食卓 キッチン一体型 食卓カウンター ダイニングセット
リビング マイチェアー ソファーセット(2人掛け) ソファーセット(3人掛け以上)
宿泊室 なし なし あり
キッチン 対面式(カウンター1800mm) 対面式(カウンター2100mm) 対面式(カウンター2400mm)
水回り 洗面・トイレ一体型 トイレ独立型 トイレ独立型

40m2の暮らし

2DKからワンルームへ

個室をつくらず、オープンスタイルのキッチンとベッドコーナーにより、40m2ながらもゆったりとした暮らしに。リビングにはソファーセットは置かず、マイチェアーでくつろぐ。

キッチン
幅1800mmのカウンターは食卓テーブルも兼ねる

玄関
入ったときに、室内全体が見渡せないようにする

トイレ
洗面・風呂を含む一体の水回りとすることで狭さを解消

リビング
ゆったりできるひとり用のいすでくつろぐ

寝室
背の低い家具で、ベッドとリビングのスペースを分ける

収納
クロークと壁面収納

既存

プロトタイプ


60m2の暮らし

3LDKから1LDK

オープンスタイルのキッチンとソファーセットのある暮らし。
書斎コーナーも確保しながら来客への対応も可能。寝室は個室スタイルにしつつリビングとつながりのあるプランとする。

トイレ
独立型トイレとしつつも、洗面スペースはゆとりがある

収納
寝室につながる、ゆったりとしたウォークインクロゼットが確保される

キッチン
幅2100mmのカウンターは食卓テーブルも兼ねる

書斎コーナー
本を読んだり、趣味を楽しむ専用のコーナー

リビング
少人数の来客なら、ゆっくりともてなせるスペースを確保

既存

プロトタイプ


80m2の暮らし

4LDKから2LDK、3LDKへ

オープンスタイルのキッチンは他のタイプと変わらないが、食卓テーブルやソファーセットのある暮らし。書斎や寝室を個室で確保しながらも、来客への対応はゆったりとしている。

書斎
個室として確保

トイレ
独立型のトイレとしつつも、手洗いスペースのゆとりがある

シューズクローク
カバンやゴルフバッグなどをまとめて収納できる

収納
寝室につながる、ゆったりとしたウォークインクロゼットが確保される

キッチン
カウンターの幅2400mmで料理好きにも十分対応

書斎コーナー
本を読んだり、趣味を楽しむ専用のコーナー

タタミコーナー
ふだんはリビングと一体的に使い、来客のあるときは宿泊スペースにする

既存

プロトタイプ

「部位別」リフォームのポイント

玄関

間仕切りの工夫で室内が見渡せないように

狭い場合
玄関を開けると室内が見通せてしまう場合がしばしばみられる。とくに室内をワンルームにしてしまうと、見せたくないものまでが訪問客の目にふれる。こうした問題が起きないように、玄関ホールの正面に間仕切り代わりのついたてを付けるなど、間取りの工夫をして室内が簡単に見渡せいないようにしたい。
広い場合
住まいが広く来客の多い場合は、玄関とそれに続く空間をギャラリーのようなオープンスペースとすれば居室とのクッション的な接客空間になる。

奥が玄関。ワンルームの室内との間にパーティションを設置。固定にしてしまうと大きなものが搬入できないのでヒンジをつけて開閉できるようにした

手前が玄関、室内との境界を斜めにすると視線が直進できず、目隠しになる。

キッチン

対面式と広さに関わらずカウンターの長さは1800〜2400mm

寸法
料理する人であれば、住まいの広さがどうであれ、カウンターの長さは1800mmから2400mm程度はほしい。そしてひとりで作業するならばこれより短すぎたり長すぎるのも使いにくい。
形態
対面式キッチンは、ひとりの場合でも室内が開放的になり、好きな絵や緑が繁る庭を見ながら快適に作業ができる。客をもてなす場合でも、客と話しをしながら作業ができる。

対面式のキッチンでは開放的な空間で作業ができ、室内にも目を配りやすい。

リビングダイニング

広さにより食事スペースを変更(ダイニングテーブルの有無)

狭い場合
十分な広さがない場合は、ダイニング・テーブルを省略するのも一手法。キッチン側に小ぶりのヌックカウンター(ヌックnookは隅・奥まった場所を意味する)をつけて、手軽に食事ができるスペースを用意する。こうすることでリビングのスペースを、より広くとることができる。

対面式キッチンにつけたヌックカウンター。ハイチェアーに腰掛けて食事する。料理したものがすぐに並べられ、片付けも手早い。

ハイチェアでは落ち着かないという場合は、少し広めのカウンターで対応。部屋の形に合わせたテーブルサイズならスペースの無駄も少なく、ダイニングセットを置くよりも、省スペースになる。

就寝スペース

オープン、セミオープン、可動間仕切りなどの工夫

狭い場合
ワンルーム内でも、就寝スペースは落ち着いてゆっくり休める空間にしたいもの。水を使い熱の出るキッチンからはなるべく離し、光や風が通りやすい場所を選びたい。また来訪者の目にふれにくくするために、ソファや収納家具などをうまく配置して、さりげなく隠すと、開放的でありつつプライバシーの守れるスペースになる。

オープン
ワンルームの開放感を最大限活かし、ベッドはソファで仕切った。

セミオープン
背の低い収納家具の奥がベッドスペース。来訪者は近くまで行かないと、ベッドとわからない。

可動間仕切
ゆとりのある場合は、可動間仕切りを配してオープンにも個室にもできるようにしている。ふだんはオープンにして広々と部屋を使う。

収納

就寝スペース オープン、セミオープン、可動間仕切りなどの工夫

狭い場合
限られた空間では、床から天井まで収納スペースを無駄なく活用する。
広い場合
住まいが広いほど、収納は大きくとれ、シューズクロークやクロゼットが独立したスペースとして確保しやすい。しかし単に場所を広くするのではなく、ひとりで効率的に動ける範囲を想定し、合理的にものがしまえる場所にしたい。

リビングの壁を引き戸にして、天井までのたっぷり容量のある収納スペースをつくり、見せる収納と隠す収納をバランスよく配置。

LDKや寝室からアクセスしやすいように配置した奥のウォークインクローゼットと納戸。使いやすい位置に収納場所をまとめることで、リビングなどの生活スペースをすっきりきれいに保つことができる。

浴室・トイレ・洗面

一体型オープンスペースが可能

閉鎖的になりがちな水回りの空間は、ひとり用ならばおもいっきりオープンにすることも可能だ。家族に気を使うことはないため、設備機器はコンパクトに配しつつ、仕切りそのものをなくしたり、ガラスなど透過性のある素材で区切れば、スペース以上に開放的な雰囲気となる。

隣り合うトイレと浴室を、ガラスの扉や小窓で仕切ったもの。双方の空間が明るく、広がりを感じさせてくれる。

安心・快適に、ひとりで暮らし続けるには 自宅での暮らしに役立つサポートサービス・アイテム

近年は終の住処として自宅で生活する高齢者が多い。このような高齢者のためのサービスを受けやすい環境に整えることも考慮しておきたい。

写真:セコム

緊急通報サービス

別居でも、同居でも、ボタンを押すと連絡先に通報。入浴中など突然の事故に対応。

写真:象印マホービン/セコム

見守りサービス(通信システム)

  • 日常の生活状況をさりげなく確認。
  • 電気ポットやガスの利用状況をメールでお知らせ。
  • 携帯電話を使っての見守り機能。

写真:ストーク/ニチイ

食事の宅配サービス

栄養バランスを考えた高齢者向けの食事を自宅に届けるサービス。毎日の調理の負担を軽減します。

家事支援サービス

ホームヘルパーが自宅を訪問し、暮らしをサポート。介護保険の枠にとらわれないサービスを提供。

写真:リンナイ/富士通ゼネラル

浴室暖房

高齢期の暮らしは温熱バリアに注意。冬の浴室、脱衣室を暖め、温度差による事故の発生を防ぎます。

写真:パラマウントベッド

電動ベッド

背上げ、足上げ、高さ調節機能、介助バーなどを装備。腰痛、むくみ、関節炎など身体の状態や暮らしにあわせた寝室環境をリ・デザイン。

出典 Copyright©三井不動産株式会社 ケアデザインプラザ ケアデザイン

注目すべき社会の動き

ひとり暮らしにおける住宅の役割は大きいが、住宅だけではなく経済や相続などを含むいろいろな側面から検討する必要性を感じる。そんな中、社会の動きで注目すべきひとり暮らしに関わる制度を以下に挙げた。

住み替え支援制度

大きな家を高齢者ひとりで管理するのは重労働。一般社団法人移住・住み替え支援機構は、高齢者が所有する家の住み替えを進めている。その「高齢者等の住み替え支援制度」は、高齢者がもっている住宅を借り上げ一般世帯に貸し出すもの。住まいを売らずに現金化する制度である。住まいを貸した高齢者は、他の暮らしやすい住宅に入る、。もし入居した住宅が気にいらなければ契約期間後、自宅にもどることができる。

シェアハウス

シェアハウスは、大きな家に気の合ったもの同士が集まって暮らすという新しい住み方だ。今は若い世代が中心で、ネットで募集なども行われている。将来は高齢者同士が助け合い、支え合いながら暮らすスタイルとして、視野にいれておきたい。

リバースモーゲージ

リバースモーゲージは、家や土地を査定し、それを担保に資金を貸し付ける制度だ。民間銀行では従来戸建て住宅だけが対象だったが、最近分譲マンションにも適用する例がでてきている。基本的に元本の返済はなく、借りた人が亡くなったとき、家を処分して返済資金にあてる。わが家に住みながら、生活資金が得られる制度である。

介護保険制度

要介護2もしくは3までは自宅で暮らしたいという方が多い。住まいのバリアフリー化には費用がかかるが、この制度を利用すれば最大20万円まで支給される。こうした制度を上手に利用して全体の計画をしておきたい。

成年後見制度

ひとり暮らしだからこそ、財産管理はしっかりしておきたい。第三者と契約する「成年後見制度」は、任意と法定の二種類ある。任意は当人の判断能力が衰えてからではなく、能力があるうちに利用できる制度だ。

日本の高齢者向け住宅の整備は遅々として進まない。どんなにサービスの行き届いた施設でも、入居者には画一的な個室が割り当てられるので、自宅での生活とは大きな変化が強いられるであろう。自分らしく暮らすために、また愛着のあるわが家で暮らし続けるために、ひとり世帯へのリフォームは重要な鍵を握っている。