ライフステージ別リフォームストーリー

リフォームストーリーコラム 磨き上げた審美眼とこだわりでセレクトされた少女漫画家・稚野鳥子さんのアンティークショップ

恵比寿駅の西口を抜け、ガーデンプレイスを背に5分ほど歩いた先の静かな路地に、アンティークショップ"Torico-lore(トリコロール)"があります。オーナーの稚野鳥子(ちや・とりこ)さんは、「クローバー」や「東京アリス」(共に現在連載中)などの作品で知られる著名な漫画家。本業のかたわら、5年ほど前からフランスのアンティークやブロカント(古道具)の収集を始め、気付けばご自身で骨董ジャンボリーに出展するほどのコレクターに成長していました。

骨董市への出展と多忙な本業との両立が悩みだった稚野さんは、築50年ほどの比較的リーズナブルな当物件との出会いによって、自らのアンティークショップを持つという夢を一気に実現させました。

以前はペットのトリミングサロンで、奥に住居があった細長い間取りの建物をひとつなぎに改装。店内では国内随一を誇る琺瑯(ほうろう)製の食器をはじめ、陶器やインテリア雑貨、ファブリックなど、1000点を超える品々がゆかしい美を競っています。

開店の際には使うと心に決めていた稚野さん所蔵のアンティーク扉が、既存のエントランスには大きすぎました。そこで、間口の枠のみを残し、新たな扉の枠を内側に設置することで、お手持ちの扉を使えるようにしました。ショウウインドウでは、フランスの骨董店を巡って以来のあこがれの形を実現。店内側にディスプレイ台を作り、季節感や流行を取り入れたコンポジションを展示して、ストーリーテラーとしての腕前を存分に揮っています。

店奥に佇む、華麗な彫刻が施されたアルモワール(クロゼット)はこのお店の象徴。静かな存在感で、アンティークたちが過ごした時代を物語ります。

アンティークの風合いが良く映えるよう、床や壁などの色使いを極力シンプルに抑えました。また、重量のあるシャンデリアを展示するため、梁には補強を施しています。フランスのアンティークショップによく見られる、視線を上げなくとも照明の造作をつぶさに鑑賞できるディスプレイ方法です。

年月を重ねた木造の建物をリフォームしたことで、アンティークグッズの雰囲気と良く調和した"シャビーシック"を演出できていることが何より気に入っていると稚野さんは言います。

琺瑯のピッチャーやコーヒーポットなど、アンティーク食器が肩を寄せ合う店内。描かれている意匠には手描きのものが多く、これは1880〜1945年の間に造られたことを示しています。戦後はステンシル模様に変わり、プラスチック製品の席巻と共に琺瑯小物自体が消えていきました。
主にふだん使いのものとして購入されるお客様が多いとのことです。

店内最奥はレースリネンのコーナー。テーブルクロスやドイリー(卓上用の小さな敷物)、レース襟、ボンネットなど、フランスをはじめとしたヨーロッパの国々から買い付けたハンドメイドの商品だけを扱っています。